2013年7月20日土曜日

057:ライフ・オブ・パイ 再レビュー【ネタバレ】

この映画のレビューをもう一度しようと思ったのは、
初めて見た段階で、これは数回見なければ、内容は理解できないだろうな、
と思ったからです。

この映画は、トラと漂流した少年が、どのような過程で生き残ったのか、
ディズニー感あふれる、親子で楽しめる心温まる映画。

なんてことはまるでなく

結論から言うと、

これは、漂流したボートに居合わせた4人が殺し合い
死体を食べて生き残った過酷な話を
動物に例えた話、だということです。

数あるネット上のレビューの中には、この映画をクソだとかいう意見もある。
色々な見方があるから、一概には言えないけど、残念で、損していると思う。

この映画をレビューする上でまず整理することは、
登場人物です。

トラ=パイ
オランウータン=母
ハイエナ=コック
シマウマ=船員

第一の物語、動物たちとのサバイバルの話を信じてくれなかった日本の保険員は、
もっと真実味のある、誰もが信じることのできる話をしてくれ、
おとぎ話は聞きたくないという。

それに対し、パイは第二の物語を話し始める。
ボートに乗り合わせた4人。
最初から足をけがしていた船員の足を切らなければ死んでしまうという知恵のあるコック。

母とパイは船員を抑え、コックが足を切り落とした。

しかしコックはその足を使い、魚を釣り始める。
それに激昂した母。

その後、口論となり、コックが母を殺してしまう。
母は海に捨てられ、サメに食べられる。

それを見たパイは怒り、コックを殺す。

というのが、おそらく真実なのだろうと思う。
これが真実なのだろうと推測できる要素が色々と劇中に盛り込まれていた。

・沈没の夜、パイが嵐の様子を見に行こうと兄を起こそうとするシーン。
母親が、物音に気付き、寝返りをうつ仕草があった。
これは母が後にボートまで流れ着く伏線なのか。

・トラは肉食なのにもかかわらず、ハイエナと同じボート内に隠れていたのに、
ハイエナは食べていなかった。
後に、オランウータンをハイエナが殺した際に飛び出し、ハイエナを食べた。
つまり、母親を殺されたパイの本能(トラ)が飛び出してきた、ということ。

・ある夜にパイがトラに語りかける。
「お前は何をみてるんだ?」
そしてトラは水面を覗き込み、映りこんだ自身をみつめ、
その奥に様々な世界、恋人、沈没船を見る。
そしてパイの顔にもどり、トラはパイを見つめる。
これは自分自身を見つめる重要なシーン。
その後、この映画で一番理解に苦しむ浮島が登場する。

・浮島は何なのか?
一瞬だけど、島のカタチが冒頭に出てきたヒンドゥー教の神、ヴィシュヌの形と
同じだったということ。
つまり、酸の池は神の胃袋?そこで溶けた養分を吸収する植物の根は血管?
と、浮島とは神が宿った島ということなのだろうか。
その中で恋人からもらったミサンガ?を幹に巻きつけている。
なぜか?
少し前に出てきた恋人の幻想。
その祈りが通じたのか、この神の島に導いてくれたことへの感謝の思いで巻きつけた。
ということなのか。
いずれにせよ、この浮島の部分が現実的に存在するのかどうか、
という解釈が2つの物語のどちらが本当の話だったのかという
答えを導けない、大きなネックとなっていることには違いない。

・リチャードパーカーという名前。
これは人食を暗喩している。
小説しかり、事実しかり、史実の中で、
極限状態で人に食べられた人物がリチャードパーカーなのだ。

と、思いついたことをつらつらとかきましたが、
全てを理解するにはまだ不十分な気がする。


ただ、おもしろい。
本当に面白い映画だと思いました。
DVD買いました。


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